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【スタッフブログ】2015/07/24

源内とうなぎ

本日は土用の丑の日ですね。夏の丑の日はもう一日、8月5日にもあります。

私は高くなければ年中いつでも食べたいくらい好物ですが、昔々江戸時代は夏に甘いたれを使ったうなぎの蒲焼が売れなかったらしいのです。

丑の日にうなぎの誕生には諸説あるそうですが、うなぎが売れなくて困ったうなぎ屋さんから平賀源内が相談を受け発案したというのが一番有名なようですね。

平賀源内
もともと丑の日に「う」の付く食べ物が暑気あたり(夏バテ)予防には良いという民間伝承をもとに、源内は土用の丑の日をキャッチコピーとして使う事を考え、

うなぎ屋はそれを店先に掲げて暑い盛りにうなぎで精をつけて、厳しい夏を乗り切ろうというキャンペーンを行ったわけですね。

もとは土用の丑の日はうなぎでなくとも「う」が付く食べ物ならいいので梅干や瓜(きゅうり・スイカ)でもいいはずですが、うなぎと比べると見劣りしてしまいますね。

ところでうなぎと梅干は食べ合わせが悪いと言われますが、実際特に悪いことも無いようです。

脂っこいうなぎを食べても梅干がさっぱりして食欲が増進されてしまい、うなぎをおかわりして食べすぎてお腹が痛くなりますよという事らしいのですが

高級品のうなぎをおかわりする事は稀でしょうし、心配無用ですね。

 

今では1年中土用の丑の日の広告を目にする気がしますが、春夏秋冬でメインになる土用の干支の日や食べ物も実は違います。

春の土用は「戌の日」に「い」のつく食べ物(または白い食べ物)・・・烏賊でしょうか。

秋の土用は「辰の日」に「た」のつく食べ物(または青い食べ物)、青と言ってもブルーでなく青魚や青菜の事です。

冬の土用は「未の日」に「ひ」のつく食べ物(または赤い食べ物)、平目・マグロ・トマトなど。

夏は「う」以外に黒い食べ物でもいいので、黒ゴマやひじき、ナスなどもオススメです。黒ビールは食べ物じゃないのでダメかもしれません。

ちなみに土用の丑の日が毎年違う日付けなのは四立(立春・立夏・立秋・立冬)を基準にしているからです。

土用というのは五行説の暦の季節の変わり目の期間、四立の前の18~19日間です。

土用の期間は土の神様が怒るから土を掘ってはいけないなどとも言われます。

丑の日や戌の日は十二支を割り振った日干支カレンダーに「甲子」「乙丑」など書いてあります。

日常的に注目する干支の日というと丑の日だけでなく、妊婦さんは戌の日に神社で安産祈願というのもありますよね。

しかしうなぎの土用の丑の日以外全然有名じゃない所をみると、やはり平賀源内のキャッチコピーは相当流行したんですね。

別なペンネームで作家としても大活躍していた源内はコピーライターの天才でもあったようで、うなぎ以外にも歯磨き粉や菓子の宣伝文句も書いています。

以下は”清水餅”の口上です。

世上の下戸様方へ申上候。

そも我が朝の風俗にて、
目出たき事にもちいの鏡子もち、
金もち屋敷もち、
道具に長もち、
魚に石もち、
廊に座もちたいこもち、
家持(やかもち)は歌に名高く、惟茂(これもち)武勇かくれなし。

かかるめでたき餅ゆえに、
このたび思いつきたての器物さっぱり清水餅、
味はもちろんよいよいと、
ご贔屓ご評判のおとりもちにて私身代もち直し、
よろしき気もち心もち、
かかあもやきもちうち忘れ、尻もちついて嬉しがるよう、
重箱のすみからすみまで木に餅のなるご評判願い奉り候、
以上。

(安永四年 平賀源内「清水餅」より)

店頭販売でテンポよく宣伝している様子が生き生きと目に見えてくるようです。

 

国立国会図書館デジタルコレクションで源内のキャッチコピー集が見ることができますが http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2536804

・・・古い崩し文字なのでほとんど読めません。著者の風来山人は源内のペンネームです。

くずし字を自動で解読する最新の技術を使っての自動解読システムを大手印刷会社などが開発中でなかなか調子が良さそうなので、

デジタルコレクションと合わせて古い書籍が読める遠くない未来を待ちましょう。

博物学者でもあり蘭学も修め、画を書き陶芸もやり、日本初のコピーライター・戯作家・発明家・ヒット商品の仕掛け人・マルチクリエーター、

もしメガネという題材を与えたらどんな発案をするんでしょう?あやかりたいものです。

 

担当:O